論文紹介 2026年5月 ②

論文紹介 2026年5月 ②
この記事の目次

5月後半もお疲れさまです。

前半①に続き、今回も10編です。一般外科・腫瘍・神経・心臓まで幅広くまとめました。

Pubmedへのリンクも貼ってますので詳しく確認したい方はそちらからお願いします。

X (旧Twitter) にも載せています。宜しくお願いします。

https://twitter.com/gamushara_incho

2026年5月の論文紹介②です

2026年5月に発表された論文から10編をご紹介します。前半は「論文紹介 2026年5月 ①」をご覧ください。

急性虫垂炎の非手術管理:オンタリオ人口コホートの長期経過

背景:NOMは増えるが、長期の再発・手術率の実データが必要だった。

方法:カナダ・オンタリオで急性虫垂炎156,362例、NOM 13,200例を追跡。

結果と考察:1年で再受診・介入の累積33%、5年36%。5年で救急再受診16%、緊急手術12%。NOMは選択肢だが、約3割が5年以内に何らかの再介入。

Annals of Surgery, 2026年5月

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39411865/

虫垂炎、抗生剤だけで5年の3割はまた何か起きる。

若い人には手術説明、まだメインでいいかも。

がん患者の救急一般外科:発生率と手術率(SEER-Medicare)

背景:がん患者のEGS(虫垂・穿孔・閉塞など)の実態は不明だった。

方法:2006–2016年、乳・肺・前立腺癌 vs 非癌コホートを比較。

結果と考察:診断後1年のEGSは癌群4.8% vs 非癌3.2%(肺6.8%)。手術施行率は癌群でやや低い(13% vs 14%)。がん治療中の急な腹部、開業医も押さえておきたい頻度。

Annals of Surgery, 2026年5月

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39355926/

がん患者さん、最初の1年で救急外科が5%近く。

ステロイド・化学療法の副作用と混同しないよう注意。

早期非小細胞肺がん:SBRT vs 微创手術の選択予測モデル

背景:SBRTと微创手術のどちらを選ぶか、多因子で難しい。

方法:2020–2023年、臨床I期NSCLC 1,291例。MIS意図群とSBRT群から予測モデル構築。

結果と考察:AUC 0.908。年齢・PS・既往肺切除・MSK-フレイル・FEV1・DLCOが重要。低リスクは手術、高リスクはSBRTに層別化するツール候補。

Annals of Surgery, 2026年5月

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39351678/

早期肺がん、手術できない高齢はSBRT、もう標準の一つ。

紹介時に「どっちが向き?」と聞かれたらこのモデル。

膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMN)サーベイランス中の膵癌リスク:SEER比10倍

背景:IPMNは生涯フォローだが、実際のPDACリスクの大きさは議論がある。

方法:高ボリュームセンター1,494例・11,107回画像、中央55か月追跡。SEER一般人口と比較。

結果と考察:60か月累積悪性化0.97%。サーベイランス中のPDACリスクはSEERの約10倍(26イベント)。一方絶対リスクは依然低〜中程度。過剰監視と取りこぼしのバランスが課題。

Annals of Surgery, 2026年5月

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42183647/

IPMNフォロー、一般人口の10倍とは言え、数字は1%未満台。

「毎年MRI」続ける意味、患者と相談し続ける話。

直腸癌・nCRT後に縮小した側方リンパ節:郭清省略は可能か

背景:側方リンパ節(LPN)がnCRTで<5mmになった場合、郭清するか省略するか不明だった。

方法:8施設844例後ろ向き、IPTW調整。TME単独 vs TME+側方郭清。

結果と考察:郭清群は手術時間・早期合併症↑。5年局所再発3.1% vs 5.3%、DFS・OSに有意差なし。放射学的奏効後は郭清省略でも腫瘍学同等。

Annals of Surgery, 2026年5月

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42168815/

直腸がんの側方リンパ、CRTで消えたら切らなくていいデータ。

日本の施設でも議論、加速するはず。

乳頭部癌:微创 vs 開腹膵頭切除(国際コホート)

背景:乳頭部癌はMIPDの「向く」癌種とされるが、膵胆管型 vs 腸型で差があるか不明だった。

方法:12カ国27施設、1,187例。AAC-IT vs AAC-PBでMIPDとOPDを比較。

結果と考察:R1率は術式・亜型で大差なし。腸型ではMIPDでリンパ節取得数が多い(19 vs 16)。選択的にMIPDは妥当、亜型で術式を変える根拠は限定的。

Annals of Surgery, 2026年5月

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39219532/

乳頭部癌はロボ膵の教科書例だが、腸型・膵胆管型で大差なし。

病理の亜型、膵外科でもますます重要。

脳出血後水頭症:VPシャント vs LPシャントの長期比較

背景:脳出血後水頭症(PHH)のシャント選択で長期成績が確定していなかった。

方法:2014–2018年、4施設でVP vs LPSを後ろ向き比較。主要評価はシャント不全。

結果と考察:VPは長期有効性・過排液リスクでLPSより有利な方向。不全の予測因子は術式ごとに異なる。術前評価を分ける必要。

Journal of Neurotrauma, 2026年5月

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42219963/

くも膜下出血後の水頭症、腹膜シャントが腰より長く効くかも。

神経外科の話だが、リハ医とも共有したい。

中等度〜重度CTS:術前の条件付き電気刺激(CES)

背景:術7日前のCESが神経再生を促す動物データがあり、人でも検証された。

方法:64例RCT、CES vs シャム。12か月のMUNE(運動単位推定)など。

結果と考察:CES群でMUNE増加が大きい(62 vs 25)。重篤な有害事象なし。術前神経「コンディショニング」の可能性。

Annals of Neurology, 2026年5月

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41503721/

手根管、術前に電気刺激すると筋再支配が早い?

整形・神経の境界、面白い試み。

弁膜症手術:術前AFなし・CHA₂DS₂-VASc≥2で左心耳閉鎖は有益か(OPINION)

背景:弁手術患者は術後AFリスクが高いが、予防的左心耳閉鎖(SLAAO)の利益は未確定だった。

方法:中国3施設、2,157例RCT。術前AFなし・CHA₂DS₂-VASc≥2の弁手術患者。

結果と考察:1年複合エンドポイント(脳梗塞・TIA・心血管死)6.9% vs 8.2%(HR 0.83、P=0.25)で有意差なし。ルーチンSLAAOは支持されず。

European Heart Journal, 2026年5月

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40888584/

弁だけ直す手術で左心耳ついで閉じる、脳卒中は減らなかった。

「ついでに」手術、エビデンスないと増えない。

ルーワイ・ガストリック・バイパス (RYGB)後の糖尿病緩解:β細胞機能は上がるが量はPETで差なし

背景:RYGBで糖尿病緩解するが、β細胞「量」が増えるかは不明だった。

方法:緩解群8例 vs 非緩解群9例、[Ga]Ga-NODAGA-exendin-4 PETでβ細胞量、OGTTで機能評価。

結果と考察:緩解群はβ細胞機能(ARGT・OGTT)が高い。PETのβ細胞量は群間差なし。量より機能回復・休眠β細胞の再活性化が緩解の鍵か。

Diabetologia, 2026年5月

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41555052/

バイパスで糖尿病治るのは、β細胞が増えるわけじゃない?

n小さい探索研究だが、説明の仕方が変わるかも。

まとめ

  • 急性虫垂炎の非手術管理:臨床的な要点は本文の結果と考察を参照。
  • がん患者の救急一般外科:臨床的な要点は本文の結果と考察を参照。
  • 早期非小細胞肺がん:年齢・PS・既往肺切除・MSK-フレイル・FEV1・DLCOが重要。
  • 膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMN)サーベイランス中の膵癌リスク:一方絶対リスクは依然低〜中程度。
  • 直腸癌・nCRT後に縮小した側方リンパ節:郭清群は手術時間・早期合併症↑。5年局所再発、無病生存・全生存に有意差なし。主要アウトカムで明確な優越はない。
  • 乳頭部癌:主要アウトカムで明確な優越はない。
  • 脳出血後水頭症:VPは長期有効性・過排液リスクでLPSより有利な方向。
  • 中等度〜重度CTS:CES群でMUNE増加が大きい。
  • 弁膜症手術:1年複合エンドポイント(脳梗塞・TIA・心血管死)で有意差なし。主要アウトカムで明確な優越はない。
  • ルーワイ・ガストリック・バイパス (RYGB)後の糖尿病緩解:主要アウトカムで明確な優越はない。

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